おにぎりやお弁当が原因の食中毒を防ぐには?

6月から10月にかけて、おにぎりやお弁当を食べたことが原因の食中毒が発生しやすくなります。
特に高温多湿となる夏季には、食べ物などに付着した細菌が増殖しやすくなるため注意が必要です。

注意したいのは黄色ブドウ球菌

肉類や魚介類の生食による食中毒は、発生頻度も高くニュースなどでもよく取り上げられます。

しかし、生の肉類も魚介類も使用していないおにぎりやお弁当を食べて食中毒になることがあります。この場合の原因として考えられるのが「黄色ブドウ球菌」です。

黄色ブドウ球菌は、顕微鏡で見るとブドウの房のように連なっているためこの名がありますが、人や動物の皮膚、鼻孔、のどなどに常在している菌です。

健康な人でも保持していて通常は無害ですが、皮膚の傷やおでき、ニキビなどを不潔にしておくとここで増殖し、化膿を引き起こします。

そして、この黄色ブドウ球菌が手指を介して食品を汚染し、さらに食品の中で増殖するときに「エンテロトキシン」という毒素を作るので、これが食中毒の原因となります。

特に、おにぎりやサンドイッチ、お寿司、手作りの弁当など、直接手で触れて調理を行うものは、要注意です。

黄色ブドウ球菌による食中毒の症状

黄色ブドウ球菌の潜伏期間は食後30分~6 時間と言われています。

食品に付着した黄色ブドウ球菌は、「エンテロトキシン」という毒素を産生しつつ増殖しますが、このエンテロトキシンが産生された食品を食べた後、早ければ30分後くらいに食中毒の症状があらわれます。

主な症状は、悪心、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などですが、軽症の場合は吐き気・嘔吐のみで済むこともあります。

通常は1日か2日で回復しますが、まれに発熱やショック症状を起こし、重症化して入院が必要になることもあります。

黄色ブドウ球菌による食中毒を予防する方法

黄色ブドウ球菌は、人間や哺乳動物の皮膚や粘膜に常在する菌ですが、手の傷や手荒れの部分には、通常よりも多くの菌が存在している可能性があります。

そして、調理する人の手を介して、おにぎりやサンドイッチ、お寿司、手作りの弁当などの食品に付着し、食中毒を引き起こします。

そのため、調理前に手洗いや消毒を十分にするほか、手が荒れていたり傷がある場合は、食品や調理器具に素手で触れないようにすることが食中毒予防の第一歩になります。

おにぎりやサンドイッチを作る場合は、ラップや使い捨ての調理用手袋などを使用すれば、菌の付着を防ぐことができます。

黄色ブドウ球菌は10℃以下の環境下では、ほとんど増殖できないため、使用する食材は購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れておく必要があります。

また、黄色ブドウ球菌が産生する毒素は、通常の加熱では分解することが難しいという特徴があるため、食材の中心部を75℃で1分以上加熱するようにしましょう。